ポケットモンスターダイヤモンド・パール DP主人公・男・名前は『コウキ』 色々と設定捏造 シロナLOVE ついに、ここまで来た。 フタバタウンから始まった自分と相棒のポケモンたちとの冒険は、今日、1つの終点を迎える。 最初はなし崩しで始まった冒険で、ナナカマド博士からヒコザルを受け取ってシンオウを周った。 どんどん、自分の相棒が増えていき、いろんな人と会い、たくさんの出会いが会った。 急転直下で、ギンガダンという犯罪組織と幾度となく衝突した。別に正義を気取るつもりはなかったが、自分は彼等のやり方が許せなかったから、戦った。 その中で、出会った1人の女性。 美しく、綺麗で、鮮烈で、明るくて。 歳は分からないけど、その姿に心が鳴った。 ずっと傍で笑顔を見ていたいと思った。自分を見て欲しかった。彼女の『特別』になりたかった。 共闘して戦った後、その気持ちを伝えた。 お世辞にも年齢が近いとはいえないけれど、彼女は自分の気持ちを馬鹿にせずに言った。 「コウキ君が私より強くなったら、ね。実力も心も・・・・・・仲間との絆も。もしその時が来れば―――」 彼女は、黒の綿毛を翻し、消えた。 コウキはそれから必死で修行した。この想いが届くならいくらでもがんばれる。 自分の決意と胸の内を仲間たちに話すと、みんなが頷き、鳴き声を上げてくれた。協力してくれた。 その心に、自分は涙が零れるほど嬉しくて、ますます仲間たちが大切になった。 「・・・・・・・・・・・・」 最高峰のポケモンリーグ。その四天王・虫使いリョウ、地面タイプマスターキクノ、燃える炎のオオバ、エスパーマスターゴヨウ。 彼等は恐ろしいほど強く、また手強かった。 勝てたのは、きっと後には引けない覚悟を持っていたからだろう。 プシュ〜、と煙が巻き上がり、メインモニターが自分を映し数千人の大歓声が巻き上がる中、チャンピオン登場の扉が開く。 そこから現れたのは、シンオウリーグ現チャンピオンにして初の女性チャンピオン、またシンオウリーグ歴代最強と言われる女性、シロナ。 くるくるとクセがある金髪の髪の毛、黒いふあふわしたコサージュがだくさん付いた真っ黒の服、真っ白の肌。そして優しい瞳。 観客の興奮度はチャンピオンの登場にMAXへ膨れ上がる。 コウキは、現れたシロナに何か言葉を言おうとした。 会いたかった、自分の言葉や想いは忘れていないか、ここまできたことにどう想っているのか、尋ねたい事などたくさんあった。 だけど。 瞳が交差した瞬間、自分は言葉を発せなかった。何故なら、その瞳から零れる眼光は全てを知り受け入れ、迎え撃つチャンピオンの威光だったから。 そんな自分の気持ちを察したのか、シロナは静に語りかける。同時に、観客も静まり返った。 「・・・・・・君の顔を見れば、すぐに分かるわ」 「・・・・・・・・・・・・」 「どんな困難にぶつかっても、ポケモンと乗り越えてきたのね・・・・・・」 彼女の瞳が、少し柔らかくなった気がした。 だが、すぐに強くなる。 「それは、どんな時でも自分に勝って来たということ。そうして学んだ強さが君たちから伝わってくる!」 「・・・・・・僕は」 「分かってます」 お互いに腰元のモンスターボールに手が伸びる。 ゴクリと息を呑む観客。数年ぶりに現れた四天王を破った挑戦者。歴代最強のチャンピオンと、最強の挑戦者が激突する。 対峙する姿を、シンオウ地方に住む全ての人々は、TVを通して視た。 「シンオウ地方、ポケモンリーグ・チャンピオンとして、このシロナ・・・・・・全力で君と戦います!!」 「俺は貴方に認めてもらう為にここに来た!! だから、俺は友と一緒にシロナさん、貴方に勝つ!!」 シロナが出した先陣の相棒、全幅の信頼を置いている相棒、ミロカロス コウキが出した先陣の相棒、全幅の信頼を置いている友達、ゴウカザル シロナは思う。 (まさか本当にここまで来るなんてね・・・・・・ううん、一緒に戦った時からそんな予感はしてた。あんなに心地よい空気は初めてだったから) コウキは思う。 (シロナさん・・・・・・貴方は、僕のことをどう見てるんだろうか・・・・・・子供? それとも眼中にないんだろうか。でも、あの共闘した時に感じた感覚は忘れられないんだ!) お互いに実力は認めていた。だから手抜きはできない、してはならない。全てはこの想いを届けるために。 「ミロカロス! ミラーコート!」 「ゴウカザル! フレアドライブ!」 両者の激突は、今、始まったばかりだった。 「これで、最後のようね・・・・・・」 「ああ。もう、次の一撃でラストだ」 両者の前に出ているのは、シロナが最も信頼している最古の相棒・トリトドン。コウキの前に出ているのは、この旅で出会い心を通わせた相棒・ピカチュウ。 お互い、すでにボロボロ。 数時間に及ぶ戦いは、次の一撃で決着がつく。 観客も、すでにコウキとシロナの両者の訳アリの感じを察して、必死に応援していた。 コウキは思う。 自分の思いは、決して中途半端でもなく、また憧れとかそういうものでもないことは、貴方に届いただろうか? 「トリトドン・・・・・・」 「ピカチュウ・・・・・・」 スッと人差し指を天へ翳し、この旅で学び・感じた全てを込めて、コウキは叫んだ。 「じしん!!」 「かみなり!!」 足場を崩されて体勢が揺らいだコウキとピカチュウ。 激しいエネルギーを纏った天からの雷撃を迎え撃つ、シロナとトリトドン。 お互いに全力の必中の攻撃の為に、避けきれない。だから堪えた者の勝ち。 両者を襲った攻撃は、地割れと雷撃が両者を襲った。 地割れで引き摺りこまれる体を必死に立て直してピカチュウを抱きしめる。 ―――諦めるなっ! 全ては、あの人の隣に立つためだろう! 圧倒的に先を走っていたシロナの隣に立つために、傍で彼女を感じるために。 この気持ちは、愛は、嘘なんかじゃないと。 嘘なんかじゃ――――。 「「「「おおおおっ」」」」 観客は、動揺を露わにした。 激しい衝撃により砂煙が巻き上がり、両者がどうなったのかが分からない。 きっと、この砂煙が消えた時が、この長く素晴らしい戦いに全てに決着がつくのだろう。 全ての人が固唾を飲んで見守った。 この素晴らしい戦いの勝者はどちらなのか。 砂塵が、ゆっくりと晴れていく。 そして、うっすらと見えてきて。 そこにいたのは・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 「・・・・・・俺の想いは、貴方に届いたでしょうか?」 泥に塗れた少年と。 「私の気持ちは・・・・・・届いたかしら?」 動けない体で地面に横たわり、でも幸せそうに頬を染めて微笑む女性の姿だった。 2008/08/09 この作品を書いた理由は、シロナが凄くカワエエと思ったからです。 戦闘シーンを省きまくったのは、コンセプトには必要なかったからです。 ただ楽しんでいただけたら、嬉しいです。 |