ルル×CC。捏造ラスト。死にネタ。ゼロバレ 私立アッシュフォード学園。 学園運営の最高権力機関・生徒会室に、数人の生徒が集まっていた。 「まさか、皇帝陛下が死ぬなんて・・・・・・」 ポツリと声を漏らしたのは、リヴァルという名の青年。 ずっと生中継されているテレビを見つめながら漏らした声に、その場にいた女の子たち・ミレイとシャーリーとニーナは頷き返す事ができない。 今、世界は黒の騎士団率いるEU・中華連邦対神聖ブリタニア帝国と全面戦争の状態にあった。 一昨日から始まった全面戦争は、両軍合わせて数万人の死者を出している。 まさに世界は、大きな転換期を迎えているのだ。 ブリタニア帝国による、世界征服か。 それとも各国が自由を取り戻すのか。 そんな危険な外の世界であった為、ミレイたちは生徒会室で大人しくしているのだ。 その中、突然テレビのアナウンサーが興奮しながらある情報を口にした。 『ブリタニア皇帝、シャルル・ジ・ブリタニアが黒の騎士団リーダーのゼロによって殺された』という事を。 日本人が、中国人が、EU諸国の人が、世界中の人々が皇帝の死を喜んだ。 即ちそれは、立憲君主制の崩壊を意味し、ブリタニアの各国への侵略行為に関して終わりを意味している。 大多数の人間はその野蛮な皇族国家の滅亡に歓喜し、ブリタニア人は自分達が負けるはずないと現実から目を背け、不安に包まれていた。 ミレイやシャーリー、リヴァルやニーナ、そして盲目の少女ナナリーは不安な顔をしてテレビを見ていた。 ましてや、今この場には3人の人物が足りないのだ。 副会長のルルーシュ、カレン、スザクである。 戦争中だから軍所属のスザクは仕方が無いが、一般生徒のルルーシュたちがいない事で、彼女達の心配は一層強い。 その瞬間であった。 ドガン、という突然の衝撃と共に生徒会室の壁の一部が削れ落ち、大穴が空く。 突然襲った衝撃に、彼女たちは悲鳴を上げて驚いたが、隙間から見える『超有名』な機体を目にして一瞬で現実に引き戻された。 「あれって、ガウェイン!?」 リヴァルが大声を上げて、そのナイトメアフレームの名前を口にする。 ミレイがナナリーを庇いながら、その機体をジッと睨みつけ、ニーナがその機体に乗っている筈の人物を連想し、憎悪に満ちた表情を浮かべる。 自分たちはどうするべきかと悩み硬直する皆を他所に、機体のコックピットが開き、その中から緑の髪の美しい女性が出てくる。 その女性の顔の造詣はどこか作り物に思えてしまう程に整っていて、真の美人というのは目の前の人の事を言うのではと、全員が錯覚する。 しかし彼女は真っ白の礼服を真っ赤な血で染め、服はボロボロ、額から血を流していて、血色が悪く唇は紫色。正に今にも死にそうという表情であった。 その緑の髪の女は、呆然と自分を見つめるミレイたちを無視し、傍らにいる人物の肩に手を差し入れ腰に手を回す。 そこから出てきた人物、いや仮面の男に、シャーリーたちは息を呑んだ。 その仮面の男の名は、ゼロ。 世界へ反逆の狼煙を上げた人物にして、皇帝を殺した張本人。 一番、有名なテロリストのリーダーである。 ゼロと緑の髪の女は、身体中血塗れの状態で地面に降り立つ。ゼロは弱っているらしく、傍の女の力を借りなくては立つ事すら叶わないらしい。 コツコツと、女のヒール音が響き、ミレイたちの元へ、椅子へと近づいてくる。 その時、傍の机に駆け寄ってピストルを手にした者がいた。その少女はニーナ・アインシュタイン。ユーフェミアを崇拝した同性愛者であり、ユーフェミアを殺したゼロに一方的な殺意を抱いていた。 「ユーフェミア様の仇!!」 「ニーナ!?」 突然のニーナの凶行に、ミレイやシャーリーやリヴァルは驚きの声を上げた。 「邪魔だ」 その一言が皆の耳に届いた瞬間、ニーナのピストルは蹴り飛ばされていて、地面に叩きつけられていた。 「クッ・・・・・・・・・・・・!!」 緑の髪の女がゼロを支えたまま足だけで蹴り落としたんだと、ミレイ達はすぐに察したが、彼女の身体から血が飛び散り、呻き声を上げた事で、ゼロと目の前の女が重傷なのだと初めて知る。 地面に叩きつけられたニーナは悔しそうに女を睨んだが、構っている暇などないと言わんばかりに無視して、ゼロを椅子に座らせる。 そして女も傍にあった椅子を引き寄せて座った。 「あ、あの・・・・・・」 ミレイがどういう事なのか、何をしにここに来たのか、何でここなのか、それを尋ねようとしたが、女がゼロの仮面に手を伸ばした事で口を閉ざす。 傍のナナリーが、困惑したように音のする方へと顔を向けていた。 「戻ってきたぞ・・・・・・ゼロ」 女が、初めて口を開いた。 優しく、そして弱弱しい声。 その声に、ナナリーは聞き覚えがあった。 「・・・・・・C.Cさんですか?」 ナナリーの言葉に、生徒会の一同は、知っているの? という顔をナナリーに向ける。 「ゼロ・・・・・・お前の場所に、戻ってきたんだ。一番の安息の地に」 ユサユサと優しく揺する女の声に、ミレイたちはハッとする。 女の優しい声に、ゼロは今気付いたようにゆっくりと身動ぎ、そして擦れた声を出した。 「・・・・・・シー・・・・・・ツー・・・・・・」 「ああ・・・・・・帰ってきたぞ。帰って来たんだ」 女が自分とゼロの外套を外して、放り投げる。 ベチャリと、血で濡れた外套が地面に落ちる音がした。 皆はその生々しい音と惨状に顔を顰める。 ゼロもC.Cと呼ばれた女も、身体中から血を流していて、重傷を負っているというのが一目で看破できた。 「・・・・・・私は、お前との契約を果たす事ができたか?」 「ああ・・・・・・永遠の時に終止符を打ち、共に歩み、私を理解してくれたんだ、お前は」 「・・・・・・そうか。それはよかった」 ゼロは仮面越しの声だったが、それでも彼が物凄く安心している、そして満ち足りているのが解る。 「・・・・・・私は、俺はもう、死ぬんだな」 「・・・・・・ああ。そしてそれは、私も同じだ」 「・・・・・・ふふ、死ぬタイミングまで一緒か」 シャーリーはゴクリと息を呑んだ。 テレビ越しでしか見たことがないが、それでも感じたのだ、彼が特別な存在なのだと。物凄いカリスマ性を持っているのだと。 そんな革命家・ゼロが、死ぬ。 それも、自分の目の前で、だ。 リヴァルも、ミレイも、憎悪で狂った表情のニーナも、C.Cを知るナナリーも、ショックを隠せない。 「C.Cさん、黒の騎士団だったんですね・・・・・・」 「・・・・・・ああ、ナナリー。その通りだ」 「・・・・・・死んでしまわれるのですか?」 「・・・・・・・・・・・・ああ」 「・・・・・・・・・・・・」 ナナリーはギュッと唇を噛み締める。 C.Cの声が母親と何故か重なり、昔の古傷が抉られたように痛んだ。 ナナリーとC.Cnやり取りを他所に、ゼロは誰が傍にいるのかを察して、そして自分の運命がわかっているからこそ、最後にやらなくてはならない事をする。 それしか、ない。 だから、そっと仮面を取った。 カシャンと、仮面が地面に転がり落ちた。 「「「「!!」」」」 全員が、ハンマーで殴られたように衝撃を受けた。 見間違える筈がなかった。 だって、彼は。 「ル、ル、ルルーシュ・・・・・・」 「お兄様!?」 その呻き声は誰からだったのか。 シャーリーは余りの衝撃に地面に座り込んでしまい、ミレイとリヴァルは驚愕の表情で見つめる。 ニーナは、怒りの矛先が失われて暴走したかのように、ガクガクと震えて目が充血していた。 ナナリーは、その名に敏感に反応し、それだけで全てを悟った。 彼女達の目の前にいるのは、紫の煌びやかな装飾礼服で纏ったゼロの服を着た、血塗れの男。 口元を隠しているがその綺麗な黒髪と、右目の紫の瞳は彼だけのもの。 そんな彼の左目は、抉られたように穴が開いていた。 「ナナリー・・・・・・」 「お兄様ぁ! お兄様!!」 ナナリーは駆け寄る。 動かないはずの足で、しっかりと地面を踏みしめて。 瞳が反射的に開かれ、数年の時を経て、光を取り込む。 幼き頃以来に目をする、久しぶりの光の光景は、無残な姿の世界で一番に愛する兄の姿だった。 「・・・・・・そんなに泣かないで、ナナリー。目が溶けちゃうから」 指で、そっとナナリーの目元を拭う。 ナナリーはルルーシュの手を握り、頬に摺り寄せる。 ルルーシュの呼吸が、弱くなる。 C.Cが、ルルーシュに寄りかかるようにそっともたれかかった。 「・・・・・・お兄様、私は、お兄様に傍にいて欲しかっただけなんです! 私はっ」 「・・・・・・解ってる・・・・・・だけどあのままじゃ近い将来、俺達はブリタニアに見つかった。そうなると、平穏は送れない」 ルルーシュは、片手でC.Cをしっかりと抱き寄せ、ポツポツと呟く。 「この世界は、弱者に優しくない・・・・・・だから、王の力で欲しいものを手に入れようとした・・・・・・いろんなものを捨てて」 ミレイは、ルルーシュの言葉に納得いったように顔を伏せ、ヨロヨロと椅子に座り込んだ。 「心を鬼にして・・・・・・多くの仲間を駒として使い捨てにした・・・・・・親友をこの手で殺す結果になった・・・・・・」 シャーリーは、何かを思い出したかのように呆然となり、そしてポロポロと涙を零す。 「ユフィも・・・・・・誤って殺す事になって・・・・・・もう、俺は何もない。この手は汚いんだよ、ナナリー」 口から、ゴフッと血を吐く。 「だけど・・・・・・王の力で孤独にはなったけど、C.Cと共に逝く。1人じゃない」 「・・・・・・そうだ・・・・・・私は、ギアスの呪いが消え、普通の人間になった・・・・・・」 ルルーシュとC.Cは、お互いの頭をそっと重ね、寄り掛かる。 「ナナ・・・・・・リー・・・・・・」 「お兄様!!」 「・・・・・・・・・・・・幸せに、なってくれ」 それが、ルルーシュの最後の言葉だった。 ルルーシュ・ヴィ・ブリタニア。 彼は親友を失い、最愛の妹と離れ離れにならなくてはならず、居場所すら失った。 だけど。 最後のその瞬間は。 傍らにいる女性と笑いながら、死んでいった。 2008/04/29 急に書きたくなりました。 気分転換に書いたものですので、駄作ですが、楽しんでいただけたら幸いです。 やはり、ゆかなさんは最高です!キャーーー\(≧▽≦)/ |