「うれしいわー。これでルークもウチに興味を持ってくれてるってわかったし」
「た、たしかに・・・・・・思わず殴っちゃったけど、勝敗が決した訳ではないみたいね」
「うちもがんばらんと! 昨日は誘ってくれなかったし・・・・・・」
「いえ、和泉さん。別に誘わなかった訳では」
「でもライバルなんだから、お互いに気を使う必要はないわな」
「へ?」
「うちも、それに他のみんなも本格的に参戦するみたいやし」
「「「「みんなも!?」」」」
「つまり、戦争が始まるってことね!」
「いやいや、戦争って・・・・・・アスナさん、さすがにそれは言い過ぎでは」
「ううん・・・・・・間違ってないかもしれへんよせっちゃん」
「どういうこと? このちゃん」
「ウチも・・・・・・全力を出すんやから!!」
「全力って!?」
第11章 動揺が走る3−A
朝、木乃香・アスナ部屋にてそれは起こった。
「なあ、アスナ。アスナって高畑先生の事はどうしたん?」
「へっ!?」
突然の木乃香の言葉に、アスナは朝食の玉子焼きをポトリと落としてしまった。
ちなみにネギは、一昨日のとんでもない行為から逃げ出し、山の中で長瀬に会って反省したらしい。
朝早くにエヴァンジェリンの家へと向かっていった。木乃香は表面上は普通にしているが、やはりネギを許す気はないらしい。
アスナは顔を赤くして、あらぬ方向を見ながら言った。
「も、もちろんタカハタ先生が一番よ! 素敵なおじさまだし、ダンディーだし! ルークは同じ年じゃない!」
「そうなん? ほんならルークの事はええんや?」
「う・・・・・・なんだか木乃香、狡猾になってるわね・・・・・・」
親友の鋭い突っ込みというか誘導尋問のような言葉にたじろぐアスナ。
木乃香としても、これだけは親友に譲る気はないのだ。
「ウチも早くルークと深い仲にならんとな〜」
「ちょ、ちょっと木乃香!? あんた昨日から危険な発言連発よ!?」
「おい、ルーク」
「ん? ああ、おはようエヴァ。何か用か?」
登校中に背後からルークに声をかけてきたのは眠そうな顔のエヴァンジェリンだ。
後ろには茶々丸も付き従っていて、ペコリと頭をさげていた。
「うむ、なかなか面白い事が今朝あったぞ」
「面白いこと?」
「ああ。ボウヤが私に弟子入りを志願してきた」
「・・・・・・・・・・・・へぇ。いいんじゃないか?」
ニヤリと笑うエヴァにルークは目を丸くして応える。
どうやら彼は、反省の末にエヴァンジェリンという偉大な人物に弟子入りする選択をしたらしい。
なかなか興味深い。
「で、承諾したのか?」
「うむ。今回の事でよほど打ちのめされたみたいなんでな。本来なら試験を課すんだが、一昨日の一件で十分だろう」
「そうか。まあ言われるまでもないだろうが、ほどほどにな」
「無理に決まってるだろう。私が師匠になったなら、徹底的にしごいて悪を説いてやる」
「ハハハ。まあ、好きにするがいいさ」
ルークは包帯を巻いている腕を隠すように長袖を整えながら、エヴァンジェリンと談笑していた。
ルークが登校している時、ティアは部屋の掃除に明け暮れていた。
2人の布団を干して、洗濯物を教わった手順を踏んで機械というもので洗う。
その後はテレビをつけてこの世界の情報を集めたり、この世界の歴史書を読んで勉強だ。
この世界で生きていく以上、この世界の常識と学術をマスターしなければならない。
当然文字などは読めなかったのだが、学園長に貰った翻訳ピアスにより読む事に成功した為、必死で言語習得に勤しんだのである。
ティアは元々マジメな性格だ。
そんな彼女の性格故に凄まじい勢いで勉強して吸収していったのである。
もっとも、参考書だけでなく、アニメや漫画といった偏った知識も多いのだが。
またミュウも彼女と同様にテレビから知識を吸収していたのだった。
もっとも、ミュウの場合は生き物気候という番組のみを楽しんでいたのだが。
「ルークのクラスって女の子ばかりなのよね・・・・・・大丈夫かしら」
ティアの不安は実にもっともな感情であった。
「ミュ? ティアさん不安ですの?」
「ええ、それはもちろんよ・・・・・・」
「ミュゥ・・・・・・ミュ! ティアさんが迫ればいいですの! そしたらイチコロだってガイさんが言ってましたの!」
「!?」
「ご主人様もよろこぶって言ってましたの!」
「ミュ、ミュウ? あ、あああ、ああああ貴方言ってる意味解ってるの!?」
「ミュ?」
解っていなかった(笑)
木乃香とアスナと刹那がやはり遅刻すれすれで寮を飛び出し、ルークとエヴァが談笑し、ティアが掃除していた頃。
教室では図書館組みと言われる3名の女の子たちが作戦会議を開いていた。
「―――で、どうやらネギ先生はここ数日に何か失敗してしまったようです」
「失敗って何だろうね」
「・・・・・・う、うん」
前髪を短く揃え、長い後ろ髪を2つに縛った女の子で、奇妙なジュースを飲んでいるのは綾瀬夕映。
メガネをかけてアホ毛がある同人作家の早乙女ハルナ。
長すぎる前髪で顔を隠している宮崎のどか。
彼女たちは図書館探検部というものに入っていてとても仲が良い。実はこのグループに木乃香が入ったりする。
彼女たちは寮でも同室なのだが、一昨日の深夜にいきなり尋ねてきて泊まらせて欲しいと言ってきたクラスメイトにより、ちょっとした波乱があったのだ。
それは宮崎のどかが密かに恋している担任のネギが泊まりに来たのだ。
もちろん大慌てになったのだが、ネギの様子が尋常じゃないので、それどころじゃなくなった。
顔を真っ青にし、ガタガタと震えていたので、3人は昨日からネギを元気付けていたのだ。
そして今、その原因を探った夕映が調査内容を話していたのだが、肝心の内容は解らない。
とりあえず元担任の高畑に聞いた夕映だったが、先生には「・・・・・・ちょっと大きな失敗してね」とはぐらかされたのだ。
だが夕映はこの件についておかしいと思っていた。
大きな失敗なら、彼が入ってきてからたくさんあったではないか。
授業中断、停止、ドッヂボールなどなど。
よくよく考えればとんでもないことだらけだ。
だがその時は特に先生たちは咎めていなかった。せいぜい苦笑程度である。
だが自分が訊いたとき、高畑は眉を顰め、少し表情を曇らせながら言ったのだ。
今までにない反応だった。
夕映はこの問題は実は根深い所にあると、おぼろげながら察していた。
もちろん、今朝はネギは普通にしていたので、彼の中で何かしら答えが出たのだろうとも察していたが。
だがその原因を知りたいと思うのは、人の性である。
そんな彼女たちが話していた時、室内の一角から和泉亜子の悲鳴が聴こえて来た。
「どうしよ〜〜円! ルーク君のところにな、あの写真の女性が来てるらしいんよ」
「え・・・・・・あの写真って・・・・・・マジで!?」
「うそ! ライバル出現じゃん!」
「ライバルって・・・・・・美砂、彼氏いるんじゃ」
「アキラ! あんたそれは言わない約束よ!」
「んん〜、これは荒れる予感?」
「桜子! あんたも人事じゃないでしょうが!」
半泣きの亜子と真剣に悩んでいる釘宮円。それに対して漫才をくりひろげる柿崎に大河内アキラと椎名桜子。
どうやら本気でルークを狙っているらしい。
(確かにルークさんは、私たちと同学年の割りには私たち以上にしっかりしているように思えるです。周りのくだらない男連中に比べてルークさんとネギ先生はずっとマシです)
そこは認めているらしい夕映。彼女は毒舌だが客観的視点で判断する点はすごいと言えよう。
一方、亜子たちの会話はどんどんエスカレートする。
「でね、刹那さん情報によると、すっごい美人で胸も那波さんに匹敵するって!」
「「「「デカッ!?」」」」
「ルーク君やるねぇ〜」
「ゆうな、何がやるん?」(亜子)
「だって年上なんでしょ? そんな美人がわざわざ追いかけてきた。すっごいベタ惚れじゃん」
「そ、そっか・・・・・・言われてみればたしかに」(大河内アキラ)
「ん〜、こりゃ私たちも脱いで対抗するしかないね!」(椎名桜子)
「バカ! あんた、もうちょっと考えて発言した方がいいわよ!」(柿崎美砂)
「でも、何かアクションは起こした方がいいと思うな」(釘宮)
「例えば?」(亜子)
彼女たちの暴走は止まることを知らない。
色気でだの、迫るだの、既成事実だの、とんでもない言葉が聴こえて来るが、きっと空耳だ。
夕映は「アホばっかです」と呟いて溜息を吐いた。
すると扉が開き、噂の人物が入ってきた。
「おはよ〜っす」
「「「「「ルーク君、おはよ〜〜!!!」」」」」
「お、おう」
迫るように挨拶する亜子さんたちに、ルークさんは若干引き気味だ。
あれじゃ逆に印象悪いと思うですが・・・・・・。
ルークさんはエヴァンジェリンさんと仲良さそうに会話しながら席についた。
しかしホントにエヴァンジェリンさんと仲がいいですね。エヴァンジェリンさんもあんなに楽しそうに話す方だと知ったのはつい最近です。
彼女はクラスの方とほとんど会話もせずに授業もサボる常習犯。とても浮いていて、このクラスの誰もが話しかけ辛かったです。
しかしルークさんが転校してきてから、ホントに社交的になったと思うです。
馬が合う、とでもいうでしょうか。
そして両者とも気付いているのかいないのか。2人とも綺麗な金髪に真っ赤な髪という事で妙に目を引きます。
それは派手かつ個性が強い麻帆良学園都市にも関わらず、です。
だから最近はルークさんとエヴァンジェリンさんのファンクラブすらできているという話です。
まあ、もっとも。
ルークさんは初等部から中年層までと幅広い女性層と特殊な趣味の男の人たち。
エヴァンジェリンさんは大部分が男の人、一部に女の人が、という集まりらしいですが。
・・・・・・・・・・・・少々、怖いですね。
あ・・・・・・アスナさんたちと同時にネギ先生も入ってきたです。
1時間目は・・・・・・数学です。
昼休憩になり、ルークたちの一角に木乃香、刹那、アスナ、亜子、ゆうな、まどか、アキラ、桜子、美砂が集まって弁当を広げていた。
いかんせん人口密度は高い気がするが、木乃香が弁当を作ってくれているので、ルークとしては逃げる訳にはいかない。
ルークは夢中で木乃香特性弁当を食べていたが、ある人物がルークへ話しかけてきたことから、和やかな雰囲気が一変した。
「ちょっといいかな、ルーク」
「ん・・・・・・朝倉か。何か用か?」
「ちょっと取材したいことがあるんだけど」
朝倉の発言に、微妙に視線が集まりだす室内。
「・・・・・・内容によるなぁ」
朝倉はルークが承諾していないにも関わらず、レコーダーを取り出して席に置き、ペンを構えた。
「私が入手した情報によると・・・・・・ルークを追って恋人が来たとか!? それで都市内で買い物中に抱きしめたという情報もあるんだけど、真実は?」
朝倉の言葉に、木乃香や刹那やアスナは昨日の事だと察して、どうしようかと悩む。
正直言って、ティアの存在が明るみに出るのは好ましくない。学園長自身も秘密にせよと言っていた。
朝倉の質問に室内がシーンとなり、ルークの目がどんどん細くなっていく。
「・・・・・・さあ? 知らないな、俺は」
「で、噂の人物との関係は? どこまでいった? 新聞にするからなるべく多く応えてよ?」
「・・・・・・・・・・・・」
惚けているにも関わらず無視して先を促す朝倉。彼女のジャーナリズムはとにかくネタを掴んで記事にすることだ。
一方で答えは知りたいが、ルークの機嫌が悪くなってきたと察したのは木乃香達や亜子達だ。
転校してきてからの付き合いが浅い朝倉やその他の人達は、そのルークの反応に気付けない。
「朝倉・・・・・・答える気はないから、さっさとレコーダーとペンを片付けろよ。な?」
ニッコリと笑って取材を打ち切るルーク。だが目が笑っていない。
ルークとしても、ティアの事が書かれるのはマズイ。
彼女の平穏が崩れることでもあるし、彼女と自分の事を他人に書けるとも思えない。面白おかしく書かれるのも我慢できないのだ。
そして何よりも、ティアの戸籍ができてない現在、記事にされるのは最悪に近いのだ。
だが朝倉はしつこかった。
彼女としては、人気が鰻登りで高くなっているルークの特ダネを見逃していた事に歯噛みしていたのだ。
「まあまあ、いいじゃん。ちょこちょこっと答えるぐらいさ。それともその反応は事実だからか!?」
ルークの額に、どんどん青筋が立ってきた。
それを見たアスナたちは大慌てだ。まさかいきなり攻撃するとは思えないが、このままでは爆発する。
そのように悟ったようだ。
「答える気はないっつーの。あまりにもしつこいとキレるぞ」
朝倉のヤツは仕方が無いなぁ、とクラスの皆が思った。
彼女は記者としては中学生の段階で凄腕だ。それは周りの誰もが認めている。
だが、時としてやりすぎる、TPOを弁えない、しつこ過ぎることがある。
「ちょ、ちょっと朝倉。あんた昼ご飯中にやめなさいよ」
アスナは慌てて朝倉を退けようとするが、彼女はそこに隙を見る。
「もしかして、アスナって会ったことあるの? じゃあアスナから見てどうみえた?」
「ちょ、ちょっと、あんたね!」
さすがに室内の空気が変わってきた。
言うなら不穏な空気というやつだ。
あまりのしつこさに、周囲も朝倉を嗜めようとした時だった。
「朝倉」
ルークの声が響いた。
朝倉はレコーダーをバッとルークへ向けて目線を合わそうとした、その時だ。
静かな殺気が、朝倉に叩きつけられたのだった。
「―――っ!?」
「答える気はないと言ってるだろう? これ以上取材するなら、お前・・・・・・中東のマスメディアのように消えるか?」
紛争地帯でのマスコミは常に命がけであり、行方不明になる人も珍しくない。
ルークはそれに掻けるように、朝倉に比喩したのだった。
「ご、ごめんごめん。やめとくよ」
朝倉は腰を抜かしそうになったのか、よろよろとしながら去っていった。
ルークは大きな溜息を吐いて、弁当に手を伸ばす。
クラスの連中は、普段は優しく温厚、暖かい空気を纏っているルークの、初めての殺気というものを感じて息を呑んでいた。
「まったく・・・朝倉にも困ったものね」
アスナはやれやれと首を竦めてルークに笑いかけた。
「そうだな。誰にだってプライベートというものがある。記者だからってそれを暴こうというのなら、因果応報の報いを与えるまでだ」
「まあ、調子にのってはダメってことね」
「その通りだ」
アスナは一昨日の戦闘を見て、いくらか度胸がついたようだ。
ちょっと気まずい雰囲気の中で普通に話しているのだから、アスナってすごいかも、と周りは思ったそうだ。
木乃香と刹那も普通に弁当を食べている所から、彼女たちも肝が据わっていると言えよう。
そして、これは朝倉への忠告だ。決して彼女が嫌いな訳じゃない。
ジャーナリストを目指している彼女の為に、いらぬおせっかいだ。
他人の事を調べ、暴き、暴露する仕事に就くのなら。
やってはならない善悪と、それ相応の覚悟と信念を持たなければならないと。
そして知られたくない事をやってしまった場合に受ける報いもあるのだと。
きっと彼女は、これを機に少しずつ自覚していくだろう。
そんな、昼の一幕である。
「ただいま〜」
「おかえりなさいですの! ご主人様!」
「お〜ただいま、ミュウ」
玄関までわざわざ迎えに来たミュウを抱えてルークはリビングに向かう。
するとそこには机に突っ伏して、疲れたように眠るティアの姿があった。どうやら勉強疲れらしい。
テレビはアニメが流れていて、ミュウが見ていたようだ。
ティアは白いYシャツを着ていて、突っ伏した所為で弛んだシャツの隙間から、ピンクの下着がチラリと見えていた。
ルークはあわあわと慌て、頬をポリポリとかくと、ティアをお姫さま抱っこで静かに抱え上げ、瞬動術でロフトへ上がり、布団へと寝かせた。
初めて知ったが、ティアはとても軽い。
その軽さと柔らかな甘い匂いにルークの心臓はバクバクだ。
「あぁ〜〜〜〜〜〜〜〜、ガイの気持ちが少しわかったぜ」
女嫌いのガイ。彼は女性が近寄るだけで大騒ぎだった。
今のルークは条件は違うが、心臓も速いし、叫びだしそうだ。
びみょ〜〜〜〜〜〜〜〜に、間違っているのだが、誰も突っ込んではくれなかった(笑)
ルークは頭をブルブルと振るうと、頬を一叩きし、夕食の準備にとりかかった。
まだ夕方で少し早いが、まあ、いいだろう。
「ご主人様! ご飯はどうするですの?」
「ん〜、基本でカレーにポテトサラダ、コンソメスープにしようかと思うんだが・・・・・・どうだ?」
「美味しそうですの!」
「へへへ、だろ?」
ルークは向日葵のエプロンを着ると、さっそく調理に取り掛かった。
クッキンガーの称号を持つルークは鼻歌を歌いながら料理を創っていく。
1時間もかからずに終わらせたルークは、カレーを弱火にかけ、ミュウと一緒にテレビをつけた。
「ご主人様! アニメとかいうもの、楽しいですの!」
「おお、アニメな。あれは俺も面白いと思うぞ」
テレビに今映っているのは、絶賛放送中の金髪少年が主人公の忍者アニメである。
ちょうどお色気の術とかいうので、男を倒していた。
「お色気の術か・・・・・・男には効果抜群だな」
ボソッと呟きながら笑うルークとミュウ。
もちろんミュウは、鼻血噴射で笑っているので、ルークとは微妙に笑うポイントがズレているのだが、それはご愛嬌だろう。
それが終わると、時刻は6時を過ぎていた。
さすがにこれ以上寝ると、夜に眠れなくなると判断したルークは、ティアを起こしにロフトに上がる。
そ〜っと覗き込むと実に気持ち良さそうに寝ているティアの寝顔があった。
(やっぱ綺麗だよなぁ・・・・・・それになんつーか、かわいいし)
起こすのを躊躇わせるティアの寝顔に、ルークは途方に暮れていた。だがルークのう〜むという唸り声にティアの瞳がゆっくりと開き始めた。
「・・・・・・・・・・・・・・・ん・・・・・・・・・・・・ルー・・・・・・ク?」
意識を覚醒させ始めたティアの瞳に、微妙にテレた顔のルークが飛び込んで来た。
「あ、っと、お、起きたか?」
「うん・・・・・・・・・・・・・おはよう」
「おはようって・・・・・・夕方だけどな」
少し乱れた前髪を整えながら言うと、ティアの頬がゆっくりと朱色に染まり始めた。
だが、ふと何かに気付いたように目をパチクリとさせた。
「あ・・・・・・なんだかいい匂い・・・・・・」
どうやら弱火にかけてあるカレーの匂いの事を言っているのだろう。
「ああ、もう夕食はできてるからな。どうする? 風呂に先に入るか?」
「あ、ごめんなさい。全部やらせちゃって・・・・・・」
しゅん、と落ち込むティア。
体をゆっくりと起こしながらペコリと頭を下げる。ルークはそんな態度に慌てた。
「いや、いいんだって! 別に苦になってるわけじゃないし。それに眼福も・・・・・・」
「・・・・・・眼福?」
「いいや! 何でもない! とにかく風呂に入れよ! もう沸いてあるからさ」
慌ててロフトを飛び降りるルーク。
ほんとに懲りないね、ルークくん。
一方で何の事か解らないティアは、パジャマを持ってお風呂へと向かったのである。
そんな、普通の一日。
あとがき。
普通に終わり方が弱いですが、日常を描きたいですから。
しかし、ネギまってかなりエロいですよね。だからティアとルークを『どこまで接触させるか』に困ってます(爆笑)
そして、どこまでルークと『生徒』を『エロく楽しく絡ませていく』かが悩み物です(笑)
もちろん、このままグダグタ作品にするつもりもありません。もっとエロくなれば、緊迫した状況にさせもします。
そろそろ修学旅行かなぁ。
執筆中BGM 【HIT IN THE USA】←BECKの主題歌でビートクルセイダーズの曲