『え、てことは何? ルーク、あなたいま14歳なの?』

 

『ああ。さらに300万ドルの賞金首の学生で、裏社会の魔法界からはすっかりお尋ね者さ』

 

『はぁ・・・・・・あなた何やってるのよ』

 

『まあ、最初は見知らぬ世界を見て回る、ってだけだったんだけど、気が付けば人助けになって、あれよあれよという間に裏組織と敵対してた』

 

『そう。まあ、あなたらしいわ』

 

『そう、呆れんなよティア』

 

『これからは私がしっかりサポートするからね! いい!?』

 

『ひぃ!? お願いします!』

 

 

     第9話  初めての同居生活

 

 

 戦闘終了したルークはタカミチが後始末を任せろというので生存者の拘束を頼み、学園長室に全員で移動した。

 

 移動する際に町並みに驚いたティアは、ルークと同様に文化レベルの違いに目を丸くしていた。

 

 ミュウはルークの足元をチョコチョコと歩いて付いてくる。

 

 その愛らしい姿に刹那や木乃香は目を輝かせて、抱きたそうにウズウズしていた。

 

 まあ、事情を話していない段階なので、さわることなどできるはずもなかったのだが。

 

 ティアはよほど嬉しい気分なのか、ニコニコしっ放しで随分と寄り添ってくる。こんなティアを見るのはルークも初めてだ。

 

 まあ、もちろんルーク自身も嬉しいのだが・・・・・・。

 

 腕にティアの巨大メロンが当たって居た堪れないんだよ!

 

 ああ、そうだよ。

 

 俺はやっと14歳になったんだよ!

 

 思春期真っ盛りなんでね!

 

 悪いか!? あん!? そこ!! ピュアボーイとか言うな!!

 

 しかし・・・・・・・・・・・・・・・・・・分かっちゃいたが、やっぱりデカイ!!

 

 ごほん、ま、まあ、それでどうにか学園長室にやってきたんだが、正直戦闘の疲れよりもこっちの方が疲れた。

 

 とまあ、そんなことで学園長室の扉を開けたルークたちの目に真っ先に飛び込んで来たのが、顔を真っ青にして震えていたネギの姿であった。

 

「・・・・・・・・・・・・あ、あの」

 

 ルークのボロボロの姿と血だらけの格好を見て震えるネギ。

 

 よく解らないが、何だか怯えているようだ。

 

「? なんだ?」

 

 ソファーに座って手当てを受けるルーク。包帯をくるくると巻くのは木乃香とティア。

 

 何だか争うように巻いているのは、気のせいの・・・・・・はず。

 

 ネギの態度に訳が解らないルークに、刹那が不愉快そうに告げる。

 

「ルークの命を狙った組織は血の組織でしたが、ハンターを集めたのはそこのネギ先生、いえ、そこのガキです」

 

 刹那の言葉に激しい棘が宿る。殺気や憎悪、侮蔑まで含まれている。

 

 刹那にとって木乃香とルークは自分の命より大切な人になる。それをガキ臭い自分勝手な正義感で刈り取られかけたのだから、そう思うのは当然だろう。

 

 それは木乃香も同じらしく、刹那ほどではないが彼女にしては非常に珍しい程の怒りがあるではないか。

 

 ティアは『先生』という言葉にまず驚き、そして命を狙った張本人だという事でネギを『最低な子供』と認識して嫌いになった。それはミュウも同じである。

 

 そんな彼女たちとは別にルークは、ふむ、と考え込んで言った。

 

「・・・・・・それで、俺を殺しそこなってどうする?」

 

「・・・・・・え」

 

「お前は俺を殺したかったんだろ? 今から殺し合いでもするか?」

 

「ルーク!」

 

 ティアはルークが自分を殺すなんて言うから、消滅の時の瞬間を思い出して思わず嗜める。

 

 だがルークはティアに微笑みかけるとネギに真剣な眼差しを向けた。

 

「今は魔力も身体もガタがきてるからな。ひょっとしたらお前でも俺を殺せるかもしれないぞ? そこのオコジョ、お前は何て言って唆すんだ?」

 

 ネギの肩に乗っていた白いオコジョに目を向けて睨みつけるルーク。

 

「い、いや、ルークの旦那! 俺っちとしたことが早とちりしちまったんでさ! ネギの兄貴をそそのかしたのも俺っちの所為なんすよ! 兄貴を責めないでくれないか!」

 

「ふざけるな!」

 

 カモの言葉に激怒した刹那。

 

 夕凪を抜刀して、今にもカモを斬り殺しそうだ。

 

「まぁ、待ってくれないか刹那」

 

「だが、ルーク!」

 

「まあまあ・・・・・・だが判っただろ、クソガキ」

 

「え・・・・・・」

 

「俺は先月にお前にいったはずだ。一方的な悪など無いってな。もう少し反省してろ」

 

 ルークは溜息を吐きながらネギに言うと、アスナに「宮崎たちの部屋にでも今日一日泊めさせてもらってくれ」と言ってアスナに連れ出してもらう。

 

 エヴァンジェリンは意外にもルークがネギを弾劾しなかった事に目を丸くしている。

 

 ティアはルークの気持ちが判ったらしく、また彼の相手を気遣う気持ちとその成長ぶりに嬉しそうにしながら手当てをしている。

 

「さて・・・・・・まずは無事で何よりじゃ、ルークくん」

 

「ええ、何とか皆のおかげで助かることができました」

 

「うむうむ。とりあえず一安心じゃ。それにしてもネギくんに関しては悪かったの・・・・・・今度ばかりは洒落にならなかったわい」

 

「まあ、所詮は10歳のガキですから。今回の事でちょっとは反省したら十分でしょう」

 

「君は殺されかけたというのに、随分寛大だのぉ」

 

「まあ、事の大きさは本人自身が一番自覚してるでしょうから。後は自分で時間をかけて自分なりの答えを出すだけです」

 

 これは経験談だ。

 

 だからこそ、ルークはここぞという今、糾弾はしなかった。

 

 むしろ怒らねばならないのはオコジョの方だが、それは今度でいいだろう。

 

「それよりも・・・・・・学園長。彼女は―――」

 

「初めまして。私の名前はメシュティアリカ・アウラ・フェンデです。よろしくお願いします」

 

「うむ、初めまして。この麻帆良学園都市の一番の責任者にして学園長、関東魔法協会の最高責任者の近衛近右衛門じゃ。よろしくのぉ」

 

「真祖の吸血鬼にして600万ドルの賞金首のエヴァンジェリン・A・K・マクダウェルだ」

 

「おじいちゃんの孫の近衛木乃香やえ」

 

「桜咲刹那です」

 

「長瀬楓でござる」

 

「龍宮真名だ」

 

「ミュウはミュウっていうですの! よろしくですの! ご主人様にはブタザルとも呼ばれてたですの! どちらでも呼んでくださいですの!」

 

 ブタザルって・・・・・・・・・・・・。

 

 一同がシーンとなり、ルークにジト目を送る。

 

「い、いや、なんとなくブタザルって感じだろ!? 昔はそう感じたんだよ!」

 

「でもこんなにかわええのに・・・・・・」

 

「さすがにそれはちょっと」

 

「ちょっとネーミングセンスがないでござる」

 

「ちょっと酷いんじゃないかい?」

 

「なかなか面白いネーミングセンスだなルーク!」

 

「・・・・・・・・・・・・あ〜、俺が全面的に悪かった」

 

 こうなっては完全にルークが悪者だ。すぐに白旗を振る。

 

 その時の事をリアルタイムで傍にいたティアはクスッと笑ってミュウを抱き上げる。

 

「で、フェンデくんはルークくんとは知り合い、ということでいいんかの?」

 

「ええ。ルークとは昔一緒に旅をしていた仲で、まあ・・・・・・」

 

 ティアが僅かに視線を彷徨わせる。きっと最後にティアが告白してきた事を言っているのだろう。

 

 ルークとしても、その告白はしっかりと覚えていたので、頬を掻くしかない。

 

 ある意味において不穏な空気を敏感に感じ取ったのは木乃香と刹那だ。

 

 彼女たちは悟る。

 

 最強のライバルが襲来したのだと。

 

「フォッフォッフォ。そうかそうか。ではキミもルークくんと同じところから来た、ということかの?」

 

「! ・・・・・・ええ、そうです」

 

 ルークとティアはお互いにアイコンタクトで意思疎通を図り、率直に答えるティア。

 

「ふむ・・・・・・ということは、ルークくんの住んでる部屋に一緒に住んでもらっていいかの? 生憎すぐに見つかる住居がないんじゃよ」

 

「! え、ええ。そ、それでいいです。ご迷惑をおかけします」

 

 ボッと赤くなり、だけどすぐに冷静になって答えるティア。

 

 ―――事情は全部知っているようね。説明の手間が省けて助かるわ―――

 

 事実、帰る場所はないわけだし、ルークしか頼る人はいないのだから当然だ。またこの世界に来る時にそれも十分覚悟していた。

 

 学園長の言葉に殺気立つ者が2名ほどいたが、学園長の暴走スキルの前にはスルーされるだけだ。

 

「それじゃあ、詳しい話はまた後日ということにしようかの。今日はもう遅いしルークくんも疲れてることじゃしのぉ」

 

「わかりました」

 

 学園長の言葉を皮切りに解散する一同。

 

 久しぶりに暴れた事でご機嫌なエヴァは、また明日にでも詳しい事を聞くからな、と言って帰っていった。

 

 長瀬も龍宮も戻り、刹那や木乃香もしぶしぶ、本当にしぶしぶ寮へと戻っていった。

 

 ティアを連れて寮へ帰る途中、ティアにキュアを唱えてもらい、傷を完全に塞いでもらう。

 

「それにしてもティア。ローレライに俺がこの世界にいることを聞いたんだよな?」

 

「ええ。大体の経緯は聞いたわ。それで世界を渡るかって聞かれたの」

 

「いいのか?」

 

「何が?」

 

「もう、向こうの世界には帰れないんだぞ」

 

「それは・・・・・・それを聞くのは、私に失礼なんじゃない?」

 

 僅かに首を傾げて真剣な顔で問うティア。

 

 ルークはハッとなり、頭を掻いた。

 

「ティア・・・・・・」

 

「なに?」

 

「・・・・・・ありがとう」

 

「礼を言われる事じゃないわ。私が来たかったから来たの。分かってるんでしょ? 私の気持ち」

 

「・・・・・・ああ。なぁ、ティア」

 

「な、なに?」

 

「俺、ティアの事が好きだ。本当に、ずっと会いたかった」

 

「!!」

 

「だ、だから、これからもよろしくな!」

 

「・・・・・・ええ。私もよろしくね、ルーク!」

 

 ティアの言葉にドキドキしながら、ルークたちは女子寮の玄関を潜る。

 

 そしてエレベーターで最上階へ。

 

 7年という歳月をかけて、やっとティアの想いに返事をできたルーク。

 

 また、ルークが応えてくれた事に、胸の奥が暖かくなるティア。

 

 なんとなく、2人の間にラブ臭が漂い始めた時である。

 

 ふと、とんでもないことに気がついた。

 

「ねえ、ルーク・・・・・・」

 

「ん?」

 

・・・・・・あなた、何で女子寮に住んでるの?

 

「ひぃ!?」

 

「ミュ!?」

 

 チン、と5階に着いてドアが開く。

 

 全力で逃走する。

 

 しかし敵に回りこまれた!!

 

 敵のターン!

 

 ルークが部屋に引きずり込まれた!

 

「ごめんなさあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああい!!!!!!!!!」

 

 

 

あとがき

 

クリスマス・イブの朝に投稿!

これから友人主催の「クリスマスパーティーin合コン」by数十名という巨大イベントに参加してきます。

まあ、恋人がいない私にはそういうのに参加するしかないのですよ()

今宵は、にわかキリスト教信者が急増し、大義名分の下に食欲・性欲・物欲を満たす日です。

恋人がいない、そこの貴方!

該当するなら、こう叫べ!

「プゥルゥアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!」Byバルバトス

「俺には脳内ティアがいるから十分だ!」

「私には妄想ルークがいるから十分よ!」

とね!

 

さて、メリー・クリスマス!キャーーー\(≧▽≦)