第4話 生徒たちの視点&日常
【桜咲刹那より】
ルークさんがやってきて1ヶ月が経過した。
あの人が賞金首になったと知って衝撃を受けた。居ても立ってもいられなくなり、私は長に呼び戻してもらおうと嘆願した訳だが・・・・・・。
予想外なのは、ルークがエヴァンジェリンさんと仲が良いということだ。
これには本当に驚いた。
そしてクラスメイトの面々には、とても受け入れられているようだ。
ルークのネギ先生に対する暴言のような助言は、一部の生徒達はとても不愉快に感じたようだが、確かな事でもあったので納得しているようだ。
まあ、委員長さんは憤慨していたが(笑)
それからはドッヂボール対決があって、女子高生の服を吹き飛ばしたネギくんに対して再びルークの拳が落とされたり、という事があった。
しかし、解ったことがある。
それはルークさんの性格が昔と違って、真面目になったということ。
そして彼は容姿のこともあって、異常にモテるということだ。
校内の女の子や高校生の人たちに異常に人気で、幾度となく告白されているのを見かけた。
・・・・・・・・・・・・断っておくが、別に不機嫌になどなっていないぞ。
ちなみに、このちゃんはとても不機嫌だった・・・・・・ご機嫌とるのに一苦労したものだ。
それから、初めてルークの昔の仲間を写真で観た。
正直に言おう。
私は昔の仲間に対して嫉妬していた。
話に聞く限り、彼の仲間がした彼に対する仕打ちは容認できない。
それなのに彼は実に嬉しそうで、大切に思っている。
これはただの嫉妬だ。
だからこそ、私とこのちゃんはルークの部屋に毎日のように通っている。
アスナさんが毎回ついてくる事に不思議に思っている事は内緒だ。
アスナさんって、オジサン趣味じゃなかったっけ?
【エヴァンジェリン・A・K・マクダウェルより】
実に楽しい日常だ。
私はこの賞金首の小僧、いやルークが来てからとても毎日が充実している。
甘ったれた発言はしないし、妙な正義感を振りかざしたりはしない。
過去に大勢の人間を殺しているという経緯を聞き、実に気に入った。
そして己を消滅させたという、ルークの覚悟と想いは、私は素直に感心できる。
まあ、その仲間たちには腹が立ったが。
何故かって?
一度は見放した癖に、最後は調子よく擦り寄って助けてもらったにすぎないからだ。
しかも仲間の2人は外道の化学者に裏切り者。どこにルークを弾劾する権利があろうか。
まあ、ルークがそいつらの事を気に入っているのだから、文句はいうまい。
そして譜術というのを試してみたが、全くできなかった。
これについては非常に悔しい。
呪いを解いてさっさと脱出しようと思っていたが、予定変更した。
しばらくルークに付きまとっていようと思う。
ある日、ルークが私にメンタルシンボルというネックレス型アクセサリーを渡してきた。
最初は私を口説く為のプレゼントかと思ったが、付けてみて、15年ぶりに驚いた。
魔力が微弱ながらアクセサリーから供給されるではないか。
しばらくジッとしていたが、ある程度まで回復される事が解った。
サウザンドマスターにかけられた呪いは、ある程度までの魔力量しか回復しないように制限をかけているらしい。
寝ても魔力が回復しないことから、魔力量に制限がかけられている事は解っていたが、まさかここまでとは思わなかった。
だが少しでも魔力が自動で回復していくのはとてもありがたい。
他にもルークの指輪とかたくさんあって気になったが、まあ、そこら辺は追々聞き出していくことにしよう。
こうして、私とルークは酒飲み友達となって日々を楽しく過ごしている。
・・・・・・花粉症が治って助かったよ。
【神楽坂明日菜より】
私は最近どうかしている。
高畑先生のような渋くてダンディーなおじさまが好みだったはずだ。今だってそれは変わらない。
だが、ある日突然現れた木乃香の幼馴染だというルークという男の子ことが気になっている。
優しい雰囲気に悲しげな瞳をしていて、燃えるような赤い髪。そして矛盾しているようだが、ぶっきら棒な態度。
あいつは何度も庇ってくれた。
全裸になりかけた時も、下着姿になりかけた時も、恥をかきそうになったときも。
特に理由なんかなかった事は、あいつと話していてすぐに理解した。
バカだけど、それくらいは解る。
ネギに冷たいのは気になるし、もうちょっと優しくてもいいんじゃないかなぁと思うけど、ルークの言葉を聞いてなるほどなぁと思った。
確かに、現実問題として無神経な子供に私達中学性の独特の悩みが解ると思えない。
というより、したくない、というのが皆の意見だし、私ももちろん同じだ。
これは、ネギが頑張る事に期待しよう。
【近衛木乃香より】
ルークは昔より、い〜っぱいカッコよくなったなあ〜。
でもでも、なんやその所為で皆が見てるのは複雑やわぁ。
せっちゃんもとても複雑な顔しとったし。
ルークはネギ君の事を叱っとって、なんやお兄さんみたいやと思ったえ。
それからルークの過去は知ってたけど、昔の仲間さんを初めてみたわ。
なんか楽しそうな雰囲気やったなぁ。
私もあそこにいたかったわあ。
なんや悔しいから、今度おじいちゃんに言って、ルークとお見合いでもしようか。
そうすれば無理やりやらされてるお見合いにも生き抜きが出来るし、ルークならお父様も大賛成やろうしな。
ん〜、これは真剣に考えてみようかなぁ〜。
【ネギ・スプリングフィールドより】
僕がこの麻帆良学園に来てから一月が経ちました。
びっくりするほど大きな学園だったし、クラスの皆さんもすごく元気があって、正直言って不安だったけど何とかやっています。
ドッヂボールとかトラブルがあったし、最終試験で図書館島に行ったりとあったけど、何とか乗り越えることができました。
ただ一番の問題が残っています。
それは、ルーク・フォン・ファブレという生徒とエヴァンジェリン・A・K・マクダウェルという生徒のことだ。
彼等は正直に言って僕は苦手だ。
魔法学院でも僕にあそこまで苦言を呈してくる人はいなかった。
僕は英国紳士であり、皆さんの先生です。
そう一度だけ、言ったことがある。
だがルークさんは、英国紳士じゃなくてエロガキだろ、とあっさり切り捨て、エヴァンジェリンさんは、ただの鼻垂れのガキだ、と言ってきた。
何がそこまで気に入らないかわからない。
僕はがんばっているつもりだが、それでもそれをタカミチに言ったら苦笑いするだけで、否定をしなかった。
僕はルークさんやエヴァンジェリンさんに認められるようにがんばろうと思う。
そして、ルークさんが付けているアクセサリー。
あれは一体なんだろう。
あんな妙なアクセサリーは見たことがない。魔力らしきものがあることから、ルークさんは魔法使いなんだと思う。
でも、コレクターでもあり、たくさん勉強した僕が知らないものを持ってるなんて怪しすぎる、そうルークさんに言った事がある。
すると、物凄く呆れた目を向けられた。
隣にいたエヴァンジェリンさんにも嘲笑されていた。
「おまえ・・・・・・コンビニにある大量生産品のようなマギステル・マギになる事間違いないな。いや、これではそれにすら成る事は難しいな」
「コンビっ! コンビニっ! おまえ、ルーク! お前の例えは最高だよ!!」
この反応でエヴァンジェリンさんも魔法関係者だと解ったのだが、正直に言って、この言葉には傷ついた。
僕はどうすればいいのだろう。
【和泉亜子】
私はこのごろ、気が付けば転入生のルークくんの事を目で追いかけています。
ついこの間先輩にフラれたばかりやいうのに・・・・・・。
私はそんなに軽かったんやろうか。
だが、それも仕方が無いと思う。
だって、ルークくんは何気ないところで自然と傍にいてくれて、手を貸してくれた。
そのあまりの自然さと、彼の優しい雰囲気にいつの間にか惹かれていたんだと思う。
ただ、稀に怪我をしているルークくんを見かける。
「どうしたん、それ!?」
「ああ、まあ、ちょっとしたケンカだよ」
嘘だ。
直感でそう思った。
でも話してくれないだろうと思い、追求はやめた。
ルークくんを誘ってご飯を食べてると周囲の視線がいたい。
アキラとかまどかとかにからかわれたけど、実は嬉しかった。
いつか、ルークくんが気付いてくれる日はくるだろうか。
そういえば、一度ルーク君の胸元にロケットがあるのに気が付いたことがあった。
何が入ってるんかすごく気になった。
それで、転入初日に言っていた大切な女性という言葉を思い出した。
どんな人なんか凄く気になって、朝倉は調べたかもと思い聞いてみたが、さっぱりわからないらしい。
それで、ルークくんの部屋にある写真を思い出した。
朝倉はきっとあの写真を知らないんだ。というより、朝倉が居る時は彼は写真を片付けている。きっと嫌なんだろう。朝倉はしつこいからな。
あの写真にあった中でも別格の一枚。
あの茶髪でロングヘアーの、すっごく美人で儚げな雰囲気のお姉さん。
なんとなく、あの人じゃないだろうかと察した。
でも、今あの人がいないということは、関係ないのだろう。
そうだよね?
ルークくん。
【ルーク・フォン・ファブレより】
とりあえず、この1ヶ月は俺の首を狙う敵が異常に多かった。
その所為で授業もサボリがちだったが、学園長も認可しているから安心だ。
しかしこれをネギは、俺が認めていないからエスケープしていると勘違いしたらしい。まあ、認めちゃいないが。
そして1ヶ月観ていてよくわかった。
あのガキは、英国紳士とかいっているが、ただの天然のエロガキだ。
だから俺は木乃香があのガキに汚されないようにしっかりと見張ったし、ガードを続けた。
刹那もそれについては何の異論もないらしく、図書館島に行こうとした木乃香を引き止めていた。
まあ、それはアスナたちが自主的に行ったらしいが、数日間の職務放棄はいただけない。
度重なる、西洋魔術師や賞金狩りがやってきたけれど、俺は常に退け、あまりにしつこいと殺した。
正直言ってウンザリしていたが、木乃香や刹那、エヴァがいてくれたことはありがたかった。
こうしている間に4月となり、新学期が始まった。
ネギは正式な担任教師となり、俺は生徒として続行することになった。
ちょうどこの頃、ある西アジアに拠点を置いてある日本人中心の悪事を働く組織が俺を狙っているという情報が入ってきた。
ついでに木乃香を戴こうとしているらしい。
これは、大きな戦争になりそうだ。
『本当に行くのですか、○○○』
『私は・・・・・・ルークの事が大事だから・・・・・・何よりも』
『○○○・・・・・・』
『彼があちらで大規模な○○を使えば・・・・・・それまでは○○○○○が保護してくれるって』
『・・・・・・確かに、我々はルークに全てをおしつけましたからね。それは事実です』
『うぅ・・・・・・アニスは自分勝手な事を言ったです』
『・・・・・・もうそれ以上口を開かないで。不愉快よ』
『あいつに会ったら伝えてくれ。いつまでも親友だって。お前の幸せを願ってるって』
『ええ、わかったわ』
こうして、ある一人の女性が消滅した。
運命の刻は近い。
つづく