第二話 ルークが住む場所
騒がしいクラスの質問攻めという名の拷問を抜け出したルークは、最後尾の列のエヴァンジェリンの横に座席が決まった。
クラスの面々はルークとネギに興味津々という感じだったが、昼休休憩までは授業が普通にあった為になんとか逃れる事ができた。
「ルークさん。この放課後は用事なんかはおありになります?」
超大金持ちである雪広グループの娘、雪広あやかが昼に突然ルークに聞いてきた。
「ん〜、まあ学園長と話があるから少し用事あるけど、そんなに時間はかからないはずだが・・・・・・それがどうかしたのか?」
「そうですか。それでしたら、その用事が済みましたら、またこの教室まで来ていただけません?」
「ん、わかった。ここに来ればいいんだな?」
「はい。では放課後はそのようにお願いしますわ」
なんだかよく分からなかったが、クラス委員長の雪広が言ってきたって事は、何かあるんだろう。
そんなこんなで、放課後になったルークは学園長室を訪れた。
「おお、ルークくん。一体どうしたのかね?」
「いえ、俺の住まいはどこになるのか訊きにきたんですけど」
「おお、そうじゃった。すっかり忘れておったわい・・・・・・」
「おぃ・・・・・・」
俺に野宿しろってか・・・・・・? まあ、野宿には慣れてるけどさ。
「ううむ・・・・・・そうじゃ! 木乃香の部屋にでも住むか?」
「いや、さすがに女の子の部屋じゃ神経もたねぇよ」
「う〜む・・・・・・残念じゃ。それでは寮の空き部屋に住むかの?」
残念って・・・・・・アンタ、自分の孫がいるのに何を考えてた?
「ああ、それでいい。俺はなるべく1人にさせてくれよ?」
「何故じゃ?」
はぁ? という顔をしている学園長。ルークは眉間を寄せて諭した。
「俺は懸賞金をかけられた賞金首ですよ?『聖なる焔の光』『異界の譜歌使い』の300万ドルですよ? 命を狙う者は多いんです」
「ふむ・・・・・・ネギくんだけでもダメかの?」
「・・・・・・正直に言わせてもらいます。ハッキリいって邪魔なだけです。いくら英雄の息子だろうが、所詮はただのガキです」
「なんとも手厳しいのぉ」
そう。
自分も子供だった為に仲間の足を引っ張り、アクゼリュスを消滅させ、結果的に自分を消滅させるまで事態を悪化させた。
自業自得だったとは言え、運が悪ければ仲間を巻き込んでしまうところだった。
いくら身体は17歳、実年齢は7歳だったとはいえ、子供だからという理由で許される問題ではない。
いや、子供だからこそ許されない。
「では、これがカギじゃ。女子寮の最上階じゃ。これも依頼の一部に入るからよろしくのぉ」
「・・・・・・仕方がない・・・・・・か。わかった」
2−Aの生徒は、いろいろと訳有りの生徒が多いらしい。手元の書類をチェックしていてそれを理解する。
そして護衛なら必ず近くにいなければならない。
ルークはそう判断して、しぶしぶ頷いた。
(ティアがこのこと知ったら・・・・・・ジト目で怒ってくるだろうな)
ちょっとシャレにならない事を想像してしまうルークであった。
「あ〜っと、そういえば雪広に教室にきてくれって言われてたっけな」
学園長から受け取ったカギをポケットに入れたルークは1階の廊下から教室に向かっていた。
すると、窓の先で見たことのある生徒が、山積みの本を抱えてフラフラとしながら歩いているではないか。
「あれは確か・・・・・・クラスの・・・・・・宮崎のどか」
ルークは記憶を探ると、危ない様子ののどかの元へ駆け寄ろうとした。
だが時は既に遅く、走り出した直後にのどかは石階段から足を滑らして落ちてしまう。
ルークは慌てて駆け寄ったが、2階ほどの段差から落ちたのどかはケガはしていなかった。
ネギが魔法を使って助けたらしい。
(まあ、人助けだし・・・・・・よくやったな)
だが、それをアスナが見ていたらしい。ネギは目撃者にアスナがいたと知り、サーッと青くなる。
そしてネギを連れ去っていくアスナ。
「これは後を追った方がいいな・・・・・・」
ルークはそっと後を追いかけた。
すると、林の中から再び魔力が収束するのを感じる。
もしかして、またネギじゃねぇだろうな・・・・・・?
「白状しなさいよ! アンタ超能力者なんでしょ!?」
「い、いえ、僕は魔法使いで・・・・・・」
「どっちも同じよ!」
アスナはネギに掴みかかっていた。
そして重大なことに気付く。
「あ!? 朝のアレも、アンタの仕業ね!?」
「あう・・・・・・ごめんさない! あの、魔法の事は内緒にしてもらえませんか? バレると僕は大変なことになっちゃうんです!」
「んなの知らないわよ!」
「うぅ・・・・・・では仕方がないですね。知られたからには記憶を消させてもらいます!」
「え、えぇ〜!!」
突然、物騒なことを言い始めるネギ。アスナは記憶を消されると言われて思わずうろたえてしまう。
ネギは呪文を唱え始めた。
「ムニャムニャ・・・・・・・・・・・・ちょっと頭がパーになちゃうかもですが、許してくださいね」
「ギャ―――!! ちょっと待って!! パ―――って、イヤ―――!!」
まるで悪魔にでも会ったかのような悲鳴である。
そのアスナとネギが向かい合ってる横から出てきたルーク。
ネギとアスナの会話は途切れ途切れだが、ちゃんと聞こえていた。
「ちょ、マテ―――!」
遅かった。
「消えろ―――!」
そして。
アスナのスカートとパンツが消し飛び、そしてカッターシャツの肩甲骨付近までが消し飛んだ。
つまり、ルークの位置からは完全に見えてしまっている。
「いやぁああああああああああああああああああ!!」
アスナ大パニック。
ルークは視線をサッと逸らして自分の真っ黒のコートを脱ぎ、アスナにまたも着せるルーク。
微妙に顔が赤いのは、錯覚だ。
「あれぇ・・・・・・おかしいなぁ、間違えちゃった」
ネギはクエスチョンマークを浮かべて首を捻っていた。
この言葉にルークはキレた。
「おまえ・・・・・・またか」
ゴツン!
「イタっ!!」
凄まじいほど鈍い音がして、あまりの激痛に蹲るネギ。
アスナはルークのコートで身体を隠して、呆然としている。
「な、なにするんですかぁ!」
「おまえ・・・・・・言わなきゃわかんねぇのか?」
「・・・・・・何で僕が殴られなきゃ・・・・・・」
「・・・・・・お前は人に指導する者として失格だ」
ルークは殺気にも近い睨みをネギに向けると、アスナへ近寄った。
「大丈夫か? カグラザカ」
「あ、う、うん。ありがと・・・・・・ルーク」
「いいんだ。それより制服を買いに行こう。俺が金を出すから」
「え、で、でも」
「気にすんなって! じゃあ行こうぜ」
頭を押さえて蹲るネギを放ってアスナを起こし、購買部へと向かう。
アスナはどうやら野蛮な女性ではあるが優しい面もあるらしく、放っておかれたネギの方を何回もチラチラと振り返っていた。
だがネギにやられた事、やられそうになった事を思い出したのか、すぐに気にしなくなる。彼女も怒っているのだ。
ルークに制服を買ってもらったアスナはそれに着替え、あっ、という声を上げた。
「そういえば、ネギとルークの歓迎会をやるためにネギを探してたんだった!」
「・・・・・・ああ、そういうことだったのか。なら心配するな。あっちはどうやら高畑が近くにいたようだったからな。そっちで勝手に来るだろ」
ネギを放置したのも、高畑が近くにいると気配で察知していたかららしい。
さすがはルークである。
「そっか。じゃあ、私達も急いで行きましょ! それと・・・・・・・・・・・・コートと制服、ありがと」
「いいんだ。制服代だってちゃんとアッチに請求するから、気兼ねなんかすんなよ?」
「アハハ・・・・・・わかった!」
アスナはルークに見られたのかも、とかなりショックを受けていたが、彼の変わらない態度とか、さりげない気遣いに顔を綻ばせたのであった。
アスナはルークに対してとても好印象を抱いたのである。
「ようこそ!! ネギ先生―――!! ルークくん!!」
教室に入り、主役が揃ってから始まった歓迎会。
なんだかジュースやらお菓子やら、何故か中華料理やらでちょっとしたプチパーティ状態だ。
ルークもとっても居心地が良い。
ネギがいろいろと質問され、先ほど助けられた宮崎のどかがお礼を言ったりと、いろいろとイベントが起こっているなか、ルークの方も起こっていた。
「ねえねえ、ルークくんってさ、木乃香と桜咲さんと幼馴染ってホント?」
柿崎という髪を微妙にパーマをかけた少女と、釘宮というショートカットの活発そうな少女が声をかけてきた。
実はこの2人ともう1人、椎名桜子という少女は同じ部活仲間であり、チアリーディング部に所属している仲だ。
「ああ。木乃香とは7歳の時に木乃香の実家で会ってな。それ以来ずっと懇意にさせてもらってる」
「へぇ〜〜〜〜〜〜」
どうやら教室内の勢力図が別れつつあるようだ。
つまり年下好き、もしくは可愛いもの好き、または保母さんタイプの女の子はネギくんの方へ。
年上や同年代好み、またカッコイイ人好みといった恋愛重視、思春期真っ盛りの女の子はルークサイドにきているようだ。
「ウチとせっちゃん、よくルークと遊んだもんなぁ」
「ええ、そうですねお嬢様。とても楽しかったのをよく覚えています」
刹那と木乃香の仲は変わってないようだ。実は昔、ルークの過去を聞いてから自分も人外の血を引いてると刹那に相談されたことがあった。
いつかソレが木乃香にバレたら、背の白い翼を見られたら嫌われるんじゃないか。刹那はソレを恐れていた。
しかしルークが『自分を殺して消滅させた』という覚悟を聞いて、刹那はその強さに憧れたのだ。
結局、ルークのその時の想いを聞いて己を奮い立たせた刹那は、木乃香にその姿を見せたのだった。
刹那にとって運命の言葉でもある木乃香の言葉。それは―――。
『キレイやな〜〜〜〜。天使みたいや〜〜〜〜〜♪』
そう言って、その忌み子の象徴である白い羽に抱きついたのであった。
どれだけその言葉に救われただろうか。
刹那は涙をボロボロと流し、大きな声で泣いたのであった。
そういった事があって、木乃香と刹那は未だに良き親友だ。
「まあ、そう言っても会って数ヶ月で旅に出ちゃった訳だけどな」
「ホントやわぁ。ウチたちが止めたのに、ルーク1人で行っちゃうんやもん。どれだけ心配したか」
「まったくです。ホントに無事でよかった」
木乃香は純粋に心配を、刹那は裏の事情を知ってるが故に賞金クビになった事に対しての怒りと咎め、そして心配を込めているのだ。
だが周囲はそんな言葉に目を見開いて驚いた。
「え、ちょ、旅って、7歳の時に会って数ヶ月で1人で旅に出たって・・・・・・何ソレ!?」
出席番号2番の明石ゆうながどもりながら絶叫する。
「え、ってことは7歳で1人旅してたん!?」
和泉亜子もゆうなの言葉でそれに気付き、ビックリしている。
「ああ・・・・・・まあ、そうだな。えっと京都から中国に渡って、そこから東南アジア経由でインド・パキスタン・アフガニスタン・イラン・イラク・シリア・ヨルダン・スーダン・イエメン・スリランカ・ウズベキスタンって国々を主に回ってきたぞ」
「す、すごい・・・・・・」
「って、かなり危ない地域ばっかじゃん!」
柿崎が意外な博識を見せる。紛争地帯・貧困地域ばかりだということを知っているのだろう。
「まあ、NGO組織にいたりとか、子供たちの世話をしたりとかだったから、別に危ない訳じゃなかったぞ」
これはウソだ。
だが正直に言うわけにもいかない。
「そっか〜。でも凄いわぁ〜〜〜〜」
「そうだね〜。ウチもそう思う。いろいろ話聞きたいし」
なんだか尊敬の眼差しを向けられてるぞ・・・・・・。
やっぱりこの視線は慣れねぇな。
「いやいやいや、7歳からそれっておかしいだろ、ってか他にも突っ込み所が多すぎ・・・・・・まずはそこに疑問をもてよ!」
後ろから長谷川千雨が突っ込みをいれてくるが、他のメンバーはまったく聞いちゃいない。
ブツブツと後ろで何かを言っているが、ルークもここはスルーをすることに決めた。
「なあなあ、ルーク?」
「ん? 何だ?」
「ルークはどこに住むことになったん?」
「ああ・・・・・・女子寮の最上階だ」
「「「「「「はぁ!?」」」」」」
集まった一同から上がる驚愕の声。
まあ、それは当然の反応でる。
「やったぁ♪」
「いやいやいや、その反応はさすがにおかしいぞ!」
「アハハ」
木乃香の反応は年頃の女の子の反応ではない。
ここは突っ込みを入れなければならないだろう。
刹那! 笑ってないで木乃香に突っ込め!
「まあ、ルークくんならいっか」
「そうだね。変な事とかする人には見えないし。木乃香の幼馴染だしね」
「ルークくんところに遊びにいこーっと!」
「ドキドキする〜〜〜!」
「何だか寮内まで楽しくなってきたね!」
どうやら木乃香の幼馴染であること、ルークの旅の話が彼女たちの中のルークに対する認識を変えているようだ。
だがルークとしては男として見られていないのでは? と、内心はとても複雑だ。
するとアスナがルークの元へやってきた。
「そういえばルーク、これ」
アスナの手には先ほど着せていたコートがあった。
まだ冬の時期に外で素っ裸になったのだ。いくら制服をすぐに着ても身体が冷えていた。
ルークはティアにやってあげた事をアスナにしてあげたのだ。
「おお。もう大丈夫か?」
「も、もちろんよ。ありがとう、助かったわ」
アスナの顔は微妙に赤い。
ツーンとしながら渡してくるアスナは照れ隠しだというのは周囲には丸分かりである。
だがルークはそこら辺は鈍感だった。
故にまったく気付かずに爽やかに笑う。
そんなルークの顔をみて、再び赤くなるアスナ。それを彼女の永遠の宿敵は見逃さなかった。
「あ〜ら、アスナさん。貴方のオジン趣味はなくなったのかしら?」
それは雪広あやかである。
そんなクラス委員長を務める彼女の言葉に、アスナは一瞬でキレた。
「うっさいわね、いいんちょ! あんたには関係ないでしょ!」
「あら? 否定なさらないって事は、本気なのかしら? オホオホホホホホホ」
「あんたこそ幼児趣味でしょ! このショタコン女!」
「それは今は関係ありませんでしょ!」
始まる戦争。
彼の生活は大きく変化していたのである。
「ここが俺の部屋か・・・・・・」
歓迎会が終わった後、皆でぞろぞろと女子寮にやってきたルークは、5階・6階のクラスメイトたちと別れ、最上階の7階の部屋にきていた。
1人で住むには十分はスペースがある部屋は、ルークにはとってもあがたい。
一応、学園長が掃除を誰かにやらせたらしく、どこもとても綺麗だ。
家具も一通りはぜんぶ揃っている。
冷蔵庫の中を開けると、見事にカラッポ。
ルークとしては溜息を吐くしかない。夕食は歓迎会で済ませた訳だが、正直いって助かった。
先に送っておいた身の回りのモノを、大きめのリュックから取り出して片付けていく。
ルークは洋服を片付けると、一番大切なものである写真立てを一番目立つテーブルの横に置く。
そこにはこれまでに会った旅先の人たちとの写真。
そして、元の世界での仲間たちの集合写真である。
この写真は、ユーゴスラビアで会った流浪の魔法使いが、記憶の映像を写真に出来るという奇妙な得意技を持っていた為に手に入ったものだ。
最後の戦いの前日に皆で宴会をした時の一部を思い出して、そこを撮った写真。
ジェイドがニヒルな笑いを浮かべ、アニスがガイをからかい、ナタリアがお酒を掲げて笑っていて、ティアとルークが一緒に談笑している光景。
この思い出を忘れないようにする為の、全員集合写真だ。
そしてもう一枚。
ティアと自分が甲盤に出てきて、満月の下でとても良い雰囲気の中で微笑みあっている、そんな光景。
俺にとって、とても大事で、自分のティアに対する想いを自覚して、消滅する事が本当に辛かった、そんな大事な思い出。
ルークはその写真を別の写真立てを用意して飾ってあった。
そいてルークの首にかけられたロケット。
その中にもティアの写真が入れてある。忘れないようにするためでもあり、必ず生きてティアに会うという誓いと戒めとして。
そんな片付けを終えたルークは、風呂に入ると自動販売機から買ってきたミネラルウォーターを飲む。
するとドアがノックされて、廊下から「ルーク〜」という声が聞こえる。
ルークは苦笑してドアを開けると、そこには木乃香と刹那にアスナ、ネギや和泉、釘宮に柿崎・椎名といたメンバーがいるではないか。
彼女たちは「おじゃましま〜す」というとガヤガヤと入り込んできた。
ルークは風呂上りのため、ジャージ姿であった。
「なんかルークくんの風呂あがりって、セクシー」
「なんだそりゃ」
「ウチ、なんかドキドキしてきた!」
「はいはい・・・・・・というか、何か用なのか?」
「ううん、ルークのところに遊びにいかへんかって話が出てな、それでここにきてん」
「なるほどね」
苦笑するルークは今日着ていた服についてある装備品のアクセサリーを外して、飾っていく。
「うわ〜〜〜、なんかアクセサリーが多い〜」
「ほんとだ〜」
「あんたにしては意外な趣味ね」
(なんだろ・・・・・・ただのアクセサリーじゃない・・・・・・でも何なのかわからないぞ)
アクセサリーをジロジロと見るネギは、自分にはわからない不思議な感じのする気配を発するアクセサリーを見て、眉をひそめた。
そして再びミネラルウォーターを飲むルーク。
「特に私物はないのね・・・・・・あっ!」
キョロキョロと見回していたアスナが、ルークが先ほど飾った写真を目敏く見つめて駆け寄った。
「これ・・・・・・あんたが今まで会ってきた人たち?」
「ん・・・・・・ああ、そうだよ」
「「「「「「おおぉ〜〜〜〜!!」」」」」」
どの写真にも子供たちや民族衣装を着た人たちと映るルークがいる。しかもかなり幼いものもある。
その中で特に異色な写真に気がついた。
「ねぇ、これって・・・・・・」
アスナが手に取った写真立ては、ルークとティアの写真と、もう1枚が仲間達と映る1枚である。
「なんかあんたが大人っぽく見える・・・・・・」
―――ギクッ!!
心臓がドキドキと鳴っている。
当たり前の反応である。写真の中に映るルークは、今よりも年上の時だったルークだ。
だが童顔だったこともあるし椅子に座っていたことから、誤魔化しが効く。
「錯覚だよ! な、何いってんだか・・・・・・!」
完全にドモっていた(笑)。
ルークの事情を知っている刹那と木乃香は、それがルークの元の世界の仲間だと察し、その写真をジッと見つめた。
また和泉や釘宮、柿崎に椎名は、ルークとティアの写真を見て頬を真っ赤にしていた。
その写真が、あまりにも雰囲気が出すぎだからだ。
(すっごい美人・・・・・・)
(初めて見た・・・・・・こんな雰囲気)
(うらやましいなぁ)
(むむむ・・・・・・写真なのにすごく伝わってくるよ)
まだ中学生という年齢の彼女たちには、その写真はかなり刺激が強いようだ。
「もういいだろ?」
そう言ってルークは2枚の写真を取り上げた。
ほぅ、と熱い溜息を吐く4人に複雑な表情を浮かべる3人、そしてNGOの活動風景を見ているネギ。
その中でも、なんだかイライラしていた木乃香と刹那は、写真を大事にしているルークを見て思わず宣言した。
「ウチ、今日はルークと一緒に寝る! 久しぶりやし、別に初めてやないんやしな。ええやろ?」
「あ、それならわたしも」
「よくねえよ!!」
「「「「わたしも〜〜〜〜!!」」」」
「あ、あたしもそうしようかな」
「あ、え、えと、僕は・・・・・・」
「話を聞け!!」
ルークの女難は始まったばかりだ。
つづく